![]() 私の過去のブログ「ミッデルブルグ便り」に書きましたが、2009年にミッデルブルグのジョスカン・シンポジウムで、ミラノの音楽家で声楽アンサンブル「ラビリント」の指揮者、ワルター・テストリン Walter Testolin が、その旨発表しており、その後出版されたシンポジウムの論文集 Josquin and the Sublime, Proceedings of the International Josquin Symposium at Roosevelt Academy, Middelburg, 12-15 July 2009 にも掲載されています。いろいろな状況証拠をあげていますが、絵の陰になっている部分に Josqin の文字がかすかに読み取れる、というのは決定的でもあり、しかし、あまりにかすかなので、解釈の余地があるともいえます。 その後発表された Christoph Flamm の論文 Leonardo – Gaffurio – Josquin? Zu den kunst- und musikhistorischen Unsicherheiten des Musiker-Porträts in der Pinacoteca Ambrosiana, in: Musik des Mittelalters und der Renaissance. Festschrift Klaus-Jürgen Sachs zum 80. Geburtstag, hrsg. von Rainer Kleinertz, Christoph Flamm und Wolf Frobenius (Studien zur Geschichte der Musiktheorie 8), Hildesheim 2011, S. 337–349 にも、有力候補の一人としてジョスカンがあがっていますが、決定的な証拠はないということで、結論は出していません。 カペラ友の会の会報に私が連載して紹介しているイギリスの音楽学者 David Fallows 著 Josquin には、この絵が掲載され、かなり希望的観測としてではありますが、レオナルドのモデルはジョスカンではないか、との旨が述べられています。 かつて絵の価値を高めるためにモデルが手にしている楽譜の部分が黒く上塗りされていて、修復の際に楽譜が浮かび上がってきたのですが、その時、音符はかなり破損してしまい、わずかな計量譜が残されているに過ぎません。クープランやバッハの肖像画も自作の楽譜を手にしていますが、もしこの楽譜が全体として残っていれば、はっきりとわかったでしょう。残念。でもその断片から、ジョスカンが歌詞に自分の名前を取り込んだモテットの旋律にかなり近いことから、憶測はできます。 真実はわかりませんが、大きな可能性として皆さんに是非お知らせしておきたいと思います。「みんなが見た、ダヴィンチの描いたあの人は、ジョスカンかもしれないよー!きっとそうだよ!」 ![]() *
by fons_floris
| 2013-07-08 08:00
| 花井哲郎
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