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【カペラ】『ルネサンス・ミサの魅力2』 〜ジョスカン・デ・プレのミサ《マルール・ム・バ》を聴く
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東日本大震災から1か月が経ち、ようやく春の陽射しが届いて桜が咲き始める中、ヴォーカル・アンサンブル カペラでは昨年に続いて第2回目となる、ジョスカン・デ・プレのミサ曲をより深く楽しむためのレクチャーコンサート『ルネサンス・ミサの魅力2〜ジョスカン・デ・プレのミサ《マルール・ム・バ》を聴く』を無事に開催することができました。

レクチャー公演ということで、解説がより届きやすい小さな会場ではありましたが、予想よりもはるかに多くのお客さまをお迎えすることになり、マエストロの解説にはいっそうの熱がこもりました。




前半は実演を交えての解説。このミサが書かれた時の時代背景、ジョスカンがいかに売れっ子だったか、そしてその基となったシャンソンのメロディの紹介から、ミサ曲の全体、キリエからアニュス・デイまでのそれぞれの聴き所を、部分やパートを取り出して実演を交えながら丁寧に解説し、ジョスカンの作品をどのように聞くことができるか、配られた資料を助けに目と耳で味わいました。
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配付資料の一部(GloriaのTenorパート。写本:Brussel, Koninklijke Bibliotheek MS. 9126, 1504-6年頃制作) 定旋律が分割反復される。そのような曲の構造を把握して聴いてみると、おもしろさ倍増!

【カペラ】『ルネサンス・ミサの魅力2』 〜ジョスカン・デ・プレのミサ《マルール・ム・バ》を聴く_c0067238_20255236.jpg後半はミサ曲全体を通して演奏。作品の中に多くの工夫とアイディアが凝縮されていることをあらためて感じながら、なおかつ、あまりにも自然に終音まで流れてゆくその見事さを味わいました。

震災の影響によりフォンス・フローリスは、3月末に行う予定だった古楽アンサンブル「コントラポント」の演奏会をやむなく中止いたしました。お客様に大変申し訳なく、また出演者、スタッフ一同に残念な気持ちがまだ心に残る状態で、今回のヴォーカル・アンサンブル カペラによるレクチャー・コンサートを開催いたしました。

多くの困難を乗り越えてきたであろう人類の遺産である音楽。これを途切れることなく、毎回、新しく生みなおすようにして後世に残していくことの意義をあらためて感じながら、お客様と共にしばし癒しの時間を共有できることに、心から感謝する日となりました。

なお、近江楽堂が用意してくださった東日本大震災で被災された方々への募金箱を設置させていただいたところ、多くの方々からのご寄付をいただきました。集まった寄付金は、日本赤十字社を通じてお届けいたします。皆様のご協力にお礼申し上げます。

(いなだともこ)
by fons_floris | 2011-04-08 23:00 | カペラ
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