【古楽院東京】ノートルダム楽派のコンドゥクトゥス(安邨尚美)
2014年度講座紹介、安邨尚美先生の「コンドゥクトゥス」です。

コンドゥクトゥス、初めて目にする方も多いと思いますが、どのような音楽なのでしょう?楽譜や動画も紹介してくださっていますので、どうぞ御覧ください!




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 コンドゥクトゥス(Conductus)とは、ラテン語のConducere (付き添う、 導く)という言葉に由来する語で、日本語では「行列歌」などと訳されたりしています。基本的にラテン語で自由に創作された歌で、典礼に伴う動作・移動・行列の際の伴奏のような役割を持っていました。コンドゥクトゥスという言葉は(現存するものでは)12世紀頃に編纂された写本に現れ、13世紀頃までさかんに作られました。

 今回取り上げるのは、パリ・ノートルダム楽派のコンドゥクトゥスです。この時代の重要な写本である、フィレンツェ(フローレンス / フロランス)写本 Pluteo29.1には、250曲以上のコンドゥクトゥスが収められています。その中には、1声から4声のものまで、また形式も単純なシラビックなものからメリスマティックなものまで、そして歌詞も特定の儀式を意識した厳粛な内容のものから宗教曲とはみなしにくいような、世俗的な内容や風刺など、非常にバラエティに富んだ内容になっています。
 コンドゥクトゥスはその時代に盛んだった、オルガヌムやモテットとは違い、基になる単声聖歌がなく、歌詞も旋律も全く一から創作されるため、制約が少なく自由度が高かったので、特に歌詞においては徐々にエスカレートしていったのでしょう。歌詞も旋律も自由に作れるのですから、作者の腕も鳴るというものです。

 当時の理論書の中に、「コンドゥクトゥスを作曲するには、まず素晴らしいテノールの旋律を考えることだ」、という言葉が残されています。その上で他の声部を重ねるのだと続いていますので、多声のコンドゥクトゥスを作るとき、その作者は明確に多声の曲を作曲することを意識しながら、テノールと呼ばれる柱になる声部を作り始めていたというわけです。
 ということは、コンドゥクトゥスを歌ってみれば、12~13世紀パリの人々が考えた ”素晴らしいテノールメロディー” と ”それを彩るハーモニー”を体感することができるということになりますね。

 そこで、今回はこの1声から(できれば)4声までのコンドゥクトゥスを、毎回すこしずつ学び、歌いながら、当時の人々が感じていたであろう心地よい響きというものを、みなさんと共有してみたいと思っています。その際、”響き”という点を中心に学べるよう、できるだけ単純な構造のコンドゥクトゥスを、できるだけたくさん(といってもそんなに多くの曲はできないと思いますが)歌いたいなと思っています。というのも、この(時代の)曲には1つ大きな問題点があります。それは楽譜で、じつはこの時代はまだ、みなさんおなじみの(?)計量記譜法ではないのです!
 どんな楽譜かというと・・・

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 一見、四角い音符だし、しかもスコア(!)だし、読めそうですが、これではリズムが分かりません・・・。しかし、実際音楽を聴いてみてください。(たとえば以下、他にもYouTube上にいくつか他の演奏があります。ちなみに私の解釈では、こんな風に指揮はしませんし、リズムも多少違いますが、なんとなくのイメージを持つための資料としてお聴きください。)

[YouTube動画]Ave Virgo Virginum, Perotin (1160 - 1230), Conductus


 これなら歌えそうですね!できるだけ、この例のような簡単なものを歌っていこうと思っています。楽譜を解読することに時間をかけるのでなく、実際にどのような響きを求めて行くか、そのためにはどのように歌っていけばよいのかという、実技に時間をかけてじっくり取り組んでいきたいと思います。歌詞の読み方などもきちんと時間をかけていくつもりですので、心配はいりません。みんなで、1からじっくりと、興味深い中世・コンドゥクトゥスの響きを学んでいきましょう!

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安邨尚美先生の古楽院講座の詳細はこちら

コンドゥクトゥスを歌う(C) 講師:安邨尚美
4/12、5/31、7/5、7/26、9/27、10/25、11/29、12/20、1/10、1/31(土)18時15分~21時
フォローアップ講座
対象:ルネサンス音楽1(Rd)、2(Rj)、3(Rr)受講生

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by fons_floris | 2014-02-27 22:30 | 古楽院
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